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最高裁判所第二小法廷 昭和55年(あ)1454号 決定 1981年1月27日

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人森尻光昭の上告趣意は、事実誤認、単なる法令違反の主張であつて、適法な上告理由にあたらない。

なお、廃棄物の処理及び清掃に関する法律一四条一項ただし書にいう「もつぱら再生利用の目的となる産業廃棄物」とは、その物の性質及び技術水準等に照らし再生利用されるのが通常である産業廃棄物をいうと解するのが相当である。原判決によれば、本件自動車の廃タイヤは、本件当時、一般に再生利用されることが少なく、通常、専門の廃棄物処理業者に対し有料で処理の委託がなされていたものであるというのであるから、たとえ、被告人がこれを再生利用の目的で収集、運搬したとしても、これが右にいう「もつぱら再生利用の目的となる産業廃棄物」にあたらないことは明らかであつて、これと同旨の原判断は、正当である。

よつて、刑訴法四一四条、三八六条一項三号により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。

(栗本一夫 木下忠良 塚本重頼 鹽野宜慶 宮﨑梧一)

弁護人森尻光昭の上告趣意

原判決には左の通り、判決に影響を及ぼすべき法令の違反があり、且つ、判決に影響を及ぼすべき重大な事実の誤認がある。従つて原判決を破棄しなければ著しく正義に反する。

一、廃紙、古紙、古鉄等は現在再利用されているから、いわゆる産業廃棄物からは除外されている。一方、

古タイヤ類は再利用されていない、ということで、産業廃棄物の中に含ましめられている。

しかし、これは産業界の実情を知らない者の論である。この点については昭和五四年六月二一日付朝日新聞(夕刊)、及び昭和五五年七月七日付日本農業新聞の記事を参照されたい(別添)。

本件でも不法投棄ということで警察の取調べが開始されたが、然らざることが明白となつた段階で本件の訴因となつたもので、形式的に法律の取締内に引きづり込んだもので、これでは到底被告人や関係者を納得せしめない。

二、現在の様な古タイヤの規制を以てしては、これを重要なエネルギーの再利用として利用しえず、かかる意味に於て、産業廃棄物の処理及び清掃に関する法律の当該規定は極めて不合理なものである。

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